ナツマツリ

「なんだよ。」

「いや、珍しいと思って。薄気味わりぃー…、」

「うわ、うぜぇ。いつもはナツが出すからだろ。」



嗚呼、そうかもしんねぇ。思ってみればいつも丁度良いタイミングで何かしてくれるんだよな、あいつ。



「やっぱ、さすが俺の女だよな。」

「また始まった……。」

「なんだよ陽。文句あんのか。」



口を尖らせてそう洩らしてからハッとする。何だこれ、まるで拗ねてるみてぇじゃねぇか。


内心そうぼやきつつも顔には出さないのが俺だ。先刻こいつが持ってきたコーヒーの入ったカップに口を付ける。



「文句はねぇけど。侑さぁ、昔俺に兄弟出来るっつっただろ。」

「……さぁ？」