ナツマツリ



パコ、と。テーブルの上に置かれていた新聞を軽く丸めてそのワックスで固めた頭を叩いてやった。


こいつマジで年々生意気さが増してきてるぞ。このままだと俺の父親としての威厳が危ういじゃねぇか。


若干崩れた頭を整えながら口を尖らせる息子を視界に入れつつ、考えるのはやはりナツのことで。


早く帰って来ねぇかな、なんて思いつつ。未だ些かカップの中で揺れるそれを、一気に喉に流して飲み切った。



――――――――――――…



「ックシュン!」

「うわ!ナツ、大丈夫?」



急にくしゃみしてしまったあたしを、向かいの席から心配そうに覗き込む佳奈に笑ってみせる。


あれ、おかしいな。別に風邪とかじゃないのだけれど。


此処はとある居酒屋の個室。歴史関係の武将を基調とした店内で、個室から他の部屋には声が洩れにくくなっているらしい。


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