ナツマツリ


「この街は変わんねぇな。」


独白の如く吐きだした侑は、傾きだした日によって橙色に照らされていて。


「…うん。」


眩しげな横顔を見つめながら、簡素に返す。


視界の端には長さの違う影が二本、ひゅるりと伸びているのが、なんだか物寂しく感じた。



――――――――――――…



「おー、侑!ナツちゃん!」


小学校の柵を開くと、顔を綻ばせた圭さんが駆け寄ってきた。


「どーも、圭さん。」

「また随分と男らしくなったなー!」


兄弟のように会話を交わしている二人を前に、あたしは首を傾げる。

< 24 / 232 >

この作品をシェア

pagetop