ナツマツリ
侑が帰って来たのって、確か一番初めに圭さんから聞いた様な気がするんだけど…。
思案がありありと顔に浮かんでいたらしく、小さく笑った圭さんが説明してくれた。
「俺も親父から聞いただけだったから、実際は顔合わせてなかったんだよ。」
「あ、なるほど。」
状況が飲み込めたあたしは、そう言って一人頷く。
と。
「ナツ、笛聞かせろよ。」
隣に立っていた侑が、ガバッ、と突然あたしの肩に腕をまわす。
いきなりのことに驚愕し、固まってしまう身体。こんな風に肩を抱かれたのなんて初めて、だ。
痩躯に見えて意外にも逞しい腕。
どきん、と。心臓が飛び上がり、赤の迸る頬を思わず掌で隠した。
「……、」