ナツマツリ
「ご飯は?」
「んー、少し寝てから…。」
「はいはい。冷蔵庫に入ってるからね。」
しょうがないな、なんて呟きながら母親が部屋から出て行くのを気配で感じていた。
「あー…。」
思わず洩れた独白。
あの日。侑と帰路についたあの日から、彼と一言も言葉を交わしていないのだ。
話し掛けるには、気恥かしくて。
何故だか、侑からも話し掛けてくれなくなった。
「(…あれ、)」
なんで、あたし。
こんなにショックなんだろう。