ナツマツリ
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「ナツちゃん、出番出番!」
「すみません…!」
本番二日目。
今夜も満天の星空に恵まれて。そんな中一人、ただ呆然と立ち尽くしていたあたしに、お囃子の先輩が声を張り上げた。
揺らめく色とりどりの提燈。そんな絶景が辺り一面を占める中、佇むあたしは確実に異様だ。
「考え事?」
「あ、いえ。」
「なにかあったら言って?次から本番のフレーズよろしくね。」
「はい…!」
嗚呼もう、自己嫌悪。太鼓の隣に立ち並び、バシン!と頬を一発叩いて活を入れる。