ナツマツリ
考えたって解らないから、放棄したばかりじゃないか。それなのに知らないうちに考えていたなんて…。
「(集中、集中!)」
ブンブン、と。左右に首を思い切り振り、邪念を取り払う。
まず始めに、本番開始の合図を鳴らして。轟き出した太鼓の音に合わせながら、普段と変わらず笛の音を響かせた。
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「ナツちゃん、お疲れー!」
「お疲れ様です…。」
あたしは現在げっそり、という表現が相応しい顔をしている筈だ。駆け寄ってきたのは先程と同じ先輩。
「あとは本部に向かうだけだからね。適当に流し囃子してくれればいいから、頑張れ!」
「はーい。」