ナツマツリ
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控えめにがたんごとん、と音がする。時刻は正午、場所は新幹線の窓際席。見慣れてしまった都会の景色から段々と緑の濃いものへと変わってゆく。
備え付けの折りたたみテーブルの上には昼食の駅弁と飲みかけのペットボトル。
ただ何をするわけでもなく、数時間にも及ぶ旅の間、頬杖をついて移り行く景色を眺めていた。
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そして。
「ナーツー!!」
あちらに比べると明らかに殺風景な駅に着いたとき、聞き慣れた声に呼びとめられる。
「お母さ、」
「もう!着いたら連絡しなさいって言ったでしょう?あんたこんなに痩せて…!ちゃんと食べてるの?」
「…、ダイエットだよ。」