ナツマツリ
と。
「………あ、」
見慣れた後姿を確認し、思わず声がこぼれ出た。
その姿を目に映しただけで、直ぐに視界が滲んでくる。
嗚呼、いつからだろう。
何時から、その姿、声、体温、全てが、こんなにも恋しくて堪らなくなったのだろうか。
「……侑っ!」
刹那。勢い良く風を切り、電車が視界に飛び込んでくる。
その音に紛れて聞こえなかっただろうな、と。侑に向かって踏み出したとき。
「…ナツ?」
彼が振り返って此方を見るものだから。
胸が詰まって、また涙が溢れた。