ナツマツリ
滲む視界をぐ、と拭い、眼前に佇む侑と見つめ合った。
振られることなんか百も承知だ。
彼を目の前に萎んでくる勇気を奮い起し、目に焼き付けるように見詰める。
「侑、聞いて欲しいことがあるの。」
「……あたし。」
「―――…侑が、好きだ。」
途端、身体の力が抜けていくのを感じる。
「(言えた…。)」
一歩も踏み出せなかった今までのあたしに決別した瞬間だった。
と。
「わ、」
ぐい、と腕を掴まれて。そのまま侑の腕の中に閉じ込められる。