ナツマツリ
いつも不思議に思う。何故マシンガントークをぶちかます母親から口下手なあたしが産まれたんだろう。
「それにしても暑いわね…!さ、早く車に行くわよ!ナツ、早くしてちょうだい!」
「…。」
長年の感覚で分かる。うちの母親には口答えしない方が得策だ。
少し懐かしさの滲むその背中を追いつつ、久々に触れる新鮮な空気をめいっぱい吸い込んだ。
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「はー、着いた着いた。あ、ナツ!ポストから溜まってるお手紙持ってきてちょうだい。」
「あー…、うん。」
車から降り、暑い!と叫びながら玄関に入っていくその姿に溜め息を吐きつつ、無駄にデザインの凝ったそれを開ける。
「(…げ。)」
ポストの中には目眩がするほど大量の手紙、手紙、手紙。恰好付けて家の前に置いたりするから出すのが面倒になるんじゃないだろうか。