ナツマツリ


「ナツちゃん、それね、侑が僕に君の護衛やらせてたからなん、」

「おいいいい!」


侑が咄嗟にキツネくんの口を手で塞いだけれど、時既に遅し。


「………、護衛?」


首を傾げるあたしを視線の端で捕えて。諦めたように息を吐き出した侑は、口を開いた。


「…ナツに他の男が近寄らないようにしてもらってたんだよ…。」


そして「あーくそ、恰好わりー」と呟き、くしゃりと前髪を掻き上げる侑。


「そうそう。それで、ナツちゃんの近況とかも教えたりしてたんだよ。」

「おいキツネ…!」

「もういいじゃん、バレちゃったんだから。」


ぎゃーぎゃー追いかけっこを始める二人を横目に、あたしは以前八百屋のおばさんと話していたことを思い出していた。


最近のナツちゃんについて喋っていた、ていうのは、こういう訳だったんだ。

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