ナツマツリ


「ちが、くもないんだけど、」


その様子に焦ったあたしは、しどろもどろに言葉を紡ぐ。


まるで弁解している気分。


それにしても、侑が少し機嫌を損ねたくらいで焦る必要もないのに。


大概、あたしも彼に弱いらしい。


「眼鏡が、気になっただけ。」

「メガネ?」

「昔は掛けてなかったよね。」


ああ、と頷きを見せた侑。


思案気味に視線を宙に送る姿も様になっている。


「高2からかな。」

「…ふーん。」

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