ナツマツリ
一応、僕は怒っているんだからな!という意味も込めて眉を顰めていたんだ。
が、侑はそんな僕を華麗に見事にスルーした。なんてやつだ。
「お前大学どこ行く?」
「あー…、えっと。侑が志望してる医大の近くにある、文系の公立大学だよ。」
目を開けていても線の様に細い瞳を宙に向け、視線を漂わせながら答えた。
僕が言葉を連ねたあと。
途端に目を見開いた侑にぎょっとする。元々瞳が大きいのに嫌がらせをしている訳では無さそうだ。
「え、僕なんかおかしいこと言った?」
言ってないよね。志望してる大学のこと話しただけだよね。僕悪くないよね。
「…、それ、まじか?」
「嘘吐いてどうすんのさ。」
「偶然すぎんだろ…。」