ナツマツリ


完全にドラマに集中していたあたしは、背後からするドアの開閉音に見向きもせずに声を掛けた。


「侑?おかえり。」

「ん。」


短くそう返した彼は、あたしが座るソファーの空いているスペースに腰を下ろす。


それと共にソファーが少し沈んだ。


「…ナツ。」

「あ、ごめん!ちょっと待って、今いいところ、」

「合コン行ってもいいぞ。」

「…………は?」


今度はテレビそっちのけで目を白黒させた。


「(今、何て言った?)」


合コンに行ってもいい、って聞こえたんだけど…。


隣に座る侑は何の気無しに欠伸なんかしている。目線の先には例のドラマ番組。

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