ナツマツリ
「あたし…侑のこと好きだよ。」
「……うん。」
「でも、やっぱり怖いってのもあって…。」
「ん。わかってる。」
そう言って穏やかな笑みを口許に浮かべた彼は、あたしの頭に骨張った掌を乗せた。
その温度の心地良さに、少しだけ目を閉じる。
彼がそういう風に考えてくれていたことが、素直に嬉しくて。
あたしが好きになった人が侑で良かった、と。心の底からそう思えた。
ゆっくりと瞼を持ち上げ、隣に腰を下ろしている彼の瞳を見詰めていれば。
「なに、ナツ。見惚れちゃった?」
「な、ちが…!、でも。」
「ん?」
「ちょっと惚れ直した、…かも。」
「、」