片恋桜
桜は照れながらも大地のほうを向いた。
「え・・・あ、一応いるけど・・・」

大地は桜のことをじっとみて笑っている。

それは優しい瞳で。
頑張れよと語りかけてるように。

桜は心臓がドキドキいってたまらない。

大地のことを見るたびに、
顔がだんだんと真っ赤になってゆく。
どうしたらいいかもわからない。

桜は平常心を装うために、
手に持っていたテープをはがした。

落ち着けっ考えればちゃんと言葉はある!

「だ…大地は?好きな人いるの…?」

「ん――?」

テープをはがす桜の手が震えている。
何を考えても落ち着かない。

何で…?落ち着いてよ自分!

「さぁな…」

…大地?

大地は近くにあったペンを手に取る。
そしてキャップを開けたり閉めたりしていた。

桜はそれを見て変に思った。

あ・・・くせだ。

大地のくせ。それは昔から何かあるたびに、
ペンのキャップを開け閉めすること。

桜は二年間片思いしていたため、
大地の事だけはお見通しなのだった。

大地の事をじっと見ていた桜に、大地は気づく。

「何?」

「あ・・・いや、何でもない・・・」

危なっ大地のことガン見しすぎっバカ!!
うちなんでこんなに大地の事好きなんだろ――

―――!!?

「ま・・・前もペンのキャップを、
 開けたり閉めたりしてたよね?」

「ああ。これか・・・」

桜は話すことだけで精一杯で・・・。

大地の事を見ることができないまま、
テープをずっとはがしたりしている。

「これやると・・・緊張してる時
 落ち着くんだよなぁ・・・」

テープをはがしながら、桜は何かに気がつく。
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