最後のメッセージ
3ヶ月後


あの日から1度たりとも葵を見ていないおかげで気持ちも随分と落ち着いていた。新たな恋をしようかなと最近はおもっている。
あっ。そういえば…葵のLINE消してなかったな…
あの時には消すことができなかった。
でも今の私はできる。もうおわったことなのだから
ブロックリストにある名前『葵』
久しぶりにみた名前に少し眉が動いたが
すぐにアカウントを削除する準備にはいった。
だがしかし…かなりの機械オンチである私。
消し方がわからない。いろんなところを触っているうちに、間違ってブロック解除のところをおしてしまった。あっやばいっ!
―――ピロリン―――
葵からの通知だった。ブロックした後におくられて来たものらしい。そのままトークを開かないで消すこともできたが、なんとなく気になってしまって結局みるという決断にいたった。3ヶ月ぶりのトーク画面にはこんなことが書かれてあった
「ごめん。
もう咲がブロックしたみたいだからおくりました。咲のこときらいとか顔もみたくないとかそんなこといってごめん。
まったくもってさっき言ったことは本心じゃない
神にちかっても。本心じゃない。
ずるいかもしれないけど今はこうするしかなかったんだ。
俺は今、末期ガンです。
余命は長くて3ヶ月だそうです。
ウケるよな。
これ医者から聞いた時さおれ思わずまじ卍とかいってしまってさ!兄ちゃんにゲンコツされて今コブできてる笑
ちなみにこのことを知ったのは今日の話。
200歳まで生きるっていってたおれが
享年17とかさウケね?
3ヶ月生きれたらキセキとか言われてさ
もうまじこれこそぉ〜卍〜
きっとこれをみた咲はバカじゃね?とかおもってよな。
機械オンチの咲のことだからまずこれが見れてるかわかんないし
見れてる頃にはもうおれは髪様になっちまってるってことだな
本当は告られたときさ
嬉しすぎて鼻水でたしぴょんぴょんとびまわってたし(これガチだから)
でもあと3ヶ月で死ぬ俺には咲を幸せにすることなんてできないからさ振りたくなかったんだけど振るしかなかった。だから俺あんな酷いこといってさ嫌われたいとかさドMみたいなことしたけどさ
本当は世界でいっちばーん愛してます
初恋だったぜ♡っていおうと思ったけどよく考えたら幼稚園の先生が初恋だったから、咲は2番目だ笑
最後の恋が咲でほんとによかった!!
幸せになれよ。ありがとう。
by 超イケメンな葵様より」


書いていることはすごく大事なことなのに。
シャイボーイにみえるけどほんとに親しい人にはおちゃらけて…実に葵らしい文章だった。
読むのも必死だった。次から次に涙が出てきて画面に落ちるし、すぐ拭わないと視界がぼやけるしほんとに大変だった。
もう3ヶ月後には生きていないって葵は言っていたけど、もしかしたらまだ…生きているかもしれない。
覚悟はもうできていた。もし生きていたのなら。いや、生きていて欲しい。
1粒の希望を元に私は電話をかけた。
3コール目に呼び出し音はとまった。
「もしもし?」
声の主は
「葵のお母さんですよね?葵は今どうなったんですか?」
「咲ちゃん。葵はね…」
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