夜に咲く一輪の薔薇よ
第1話 夜に咲く一輪の薔薇よ
真由…真由…
どうして?なんでこんな事したんだよ
真由…俺は何があってもお前を守るつもりだった
何があっても離れるつもりはなかった
そう覚悟を決めたのに…
第1話 夜に咲く一輪の薔薇よ
「お客様ご来店です!」
華やかな女の子達は一斉に起立する。
そこには不安な表情を浮かべる一人の少女がいた。
「まゆさん行きます」
ボーイの人に言われ真由は席を立つ。不安な表情を浮かべ生まれて初めてキャバ嬢になった。
「こちらまゆさんです」
「失礼します、まゆです。」
真由はお客様の隣にちょこんと座る。
そこには40代くらいのスーツを着た小太りな男性が一人で座っていた。
「おお!めっちゃ可愛い女の子じゃないか」
「年はいくつ?」
「ここ初めて?」
真由をみたお客様は真由を気に入ったようだ。
「ありがとうございます…今20歳です、ここのお店が初めてです。」
真由は18歳だが、お店側から20歳と言えと言われているから真由は20歳と言った。
「そうかそうか、20歳か。若いなぁ、俺が20歳の頃なんて遊びまくってたな〜」
そこで真由は質問した、はじめてのキャバでどう返せばいいのかもわからない状態で一歩頑張ったのだ
「どんな遊びをしていたのですか?」
40代のお客様はニヤリと笑って答えた
「そりゃあな、、、うん、もちろん女遊びだよ。
キャバクラにも行ったし風俗にも行った。」
「君はどうなんだ?今遊んだりしていないのかい?20歳なんだろ?」
「遊んだり、、、してます(笑)私は昔も今も変わらず遊んでます」
くすっと笑って答えた真由。
それをみていたお客様はより真由に興味を持った
「へえ!どんな遊びを!?やっぱり男とヤりまくってるんだね!?」
「それもありますけど、友達と遊んだりとかも」
「友達と遊ぶとしたらどんな事だい?」
「うーん、クラブで遊んだり飲みに行ったり」
「へえ!やっぱりクラブは渋谷か六本木?」
「私は渋谷ですかね、、、ちなみにお兄さんお名前なんて言うんですか?」
「俺?俺は 渋谷 正彦だよまさひこって呼んでね」
「まさひこさん、結婚してるんですか?」
真由はまさひこの左手の薬指に指輪がはめてあるのを見て質問してみた。
「ああ。結婚…してるよ(笑)妻も息子もいるが、妻とは仲が悪くなってしまってね。息子はいままゆちゃんの1歳上だね!」
そんな時ボーイからチェンジが入った。
「まゆさん!まゆさんお願いします!」
「あの、まさひこさん良ければ連絡先聞いてもいいですか?」
「連絡先?いいに決まってんじゃん!あ、ここ終わった後2人で軽くご飯でも行く?俺この店の近くなんだよね家。」
連絡先を交換しながら真由は答えた。
「え、ご飯ですか、、、うーん、いいですよ。」
「やった!じゃあ後でね!連絡する」
「分かりました、また後で。」
そうして真由はまさひこの席を立った。
「ありがとうございました」
この日、はじめてキャバクラで働き、正彦と出会った事が今後の真由の人間関係に影響するとは、全く思っていなかった。
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