夜に咲く一輪の薔薇よ
第2話 正彦という男
第2話 正彦という男
0時になった。
「まゆちゃんお疲れ様!この後アフター行くの?」
担当の木山が言った。
「アフター?」
「ほら、お客さんとご飯食べたりとか!」
「あ!行きます!」
「そっかそっか!気を付けて行ってきなね!」
「はい!おつかれさまでした!」
真由はエレベーターに乗って下にさがる。
下には一番最初についた男正彦が居た。
「お待たせしましたまさひこさん」
「いいのいいのーお疲れ様。じゃあ、行こっか。」
正彦は静かに真由の肩に手を回して体に抱き寄せながら歩いた。
「これから行くのはね、近くにあるお店で居酒屋なんだ。大吉ってお店だよ!」
「大吉(笑)美味しいんですか?」
「うん!安くて美味しいお店!」
少し歩いたところに大吉はあった。
しかしその周りの建物は色鮮やかな建物がたくさんあることに真由は気づいていた。
正彦は大吉のドアを開ける。
「いらっしゃいませー!お客様2名様で!」
「はい!」正彦は返事をした。
「すみませんお客様、失礼ながらお連れ様の方が若く見えるので一応年齢が確認できる物お願いします。」
真由が若く見えたみたいで年齢確認された。
真由は18歳、もちろん正彦は真由が20歳だと思っている。正彦は免許証を出すと真由に言った。
「真由ちゃん、身分証持ってきてないん?」
真由は焦りながら答えた。
「はい、今日いつものお財布と違くて入ってないみたいです。」
お店の人が言った、「そうしましたらお酒のご提供が出来ないのですが宜しいでしょうか?」
真由と正彦は顔を合わせて答えた。
「そしたらまた別の日に来ます!」
「わかりました、お待ちしております!」
正彦と店員さんが話し終え、大吉を出た。
真由は口を重たく開き言った。
「ごめん、私のせいで。お腹空いてるよね?」
「うーん、お腹空いてる、、(笑)じゃあさ、あそこでご飯食べようよ!何もしなくていいからさ」
そう指差したところは色鮮やかな建物。
ラブホだった。ホテルローズと書かれた赤く照らされた建物は目が吸い寄せられるような勢いで目の前に立ちはだかった。真由は困り顔で答えた。
「絶対なんかするでしょ!!!」
正彦はニヤつきながら、「するわけないじゃん、ご飯食べるだけだよ〜」と言った。
その言葉を信じた真由は
「わかったよ、全部おごりだからね!」
と言ってホテルローズに入って行った。
「いらっしゃいませ、パネルからご希望の部屋を選び受付にてお支払いをしてください」
ホテルのアナウンスが流れた。
「まゆちゃん、どこでもいい?」
「うん、いいよ」
「じゃあこの一番広い部屋にしようか、俺太ってるしさ」
笑いながら正彦は部屋を決めた。
受付でお会計を済ませて鍵を受け取りエレベーターに乗って部屋に入った。
「広いね!!真由ちゃん見てよ、お風呂も綺麗だよ!わ!テレビも大きいなあ」
真由は周りを見てソファーに座りテレビをつけた
テレビから料理が注文できるようだ。
「正彦さん、何食べますか?」
「んー俺はビールとパスタにしようかな」
「じゃあ私はピザで」
しばらく待って時間が経つとご飯が届いた。
ご飯が届くまでのその沈黙は真由の心を焦らせていた。場所が場所、正彦の気になる発言、なんで他のお店にしなくてここなのか。ある程度察しがついていた。いかにも電子レンジでチンしたピザとパスタとビールが届くと2人は顔を合わせて言った。
「いただきまーす」
「まゆちゃんのピザ美味しそうだね!俺のパスタなんていかにも電子レンジでチンだろうな」
「あはは、確かにこれは電子レンジですね。私のこのピザの方が美味しいです!」
「一枚貰ってもいいかい?」
そう言った時には正彦の手はピザに触れていた
「もう食べる気満々じゃないですか〜いいですよ一枚だけですからね!」
「やった!んっ!?これすごいうまい!これは電子レンジでチンしたやつじゃないなあきっと!」
「まさひこさんのパスタもいただきまーす」
「あっ!勝手に食べて〜太るぞー?俺みたいに」
真由は正彦の体を見て鼻で笑った
「こうなるのは嫌だな、でも大丈夫でしょ」
「確かに真由ちゃんほっそいもんな〜身長も高いし、、、」
「164cmありますよ。まさひこさん何センチですか?」
「俺は2メートルだよ」
真由はイラッときて不機嫌な顔で言った
「そんなないでしょ、168くらい?」
「え!?どんぴしゃだよ!」
「私と四センチしか変わらないじゃん。」