ひとふゆの恋
冬の朝は本当に眠い。
今日のような寒い朝は尚更。
綾一は、喧しいアラームに少しイラつきながら、枕元にあるはずの携帯を探す。
いつもならあるはずの枕元に携帯はなく、そう言えば昨日は携帯を鞄に入れっぱなしにしていたなあ、と思い出しながら、仕方無く温かい布団から身体を起こしてベッドから抜け出る。
それにしても、昨日のあれは何だったのだろう。
鞄の中から携帯を取り出し、アラームを消しながら、綾一は昨日の夜のことを思い出す。
受験生の綾一は、毎晩予備校からの帰り道に近所のコンビニで飲み物を買って、一服してから家に帰ることを日課にしていた。
昨日も、お気に入りのミルクティーを飲みながらコンビニのイートインコーナーからぼんやりと外を眺めていた。
大通り沿いにあるそのコンビニの前は、夜10時を過ぎても結構人通りがあって、外を歩く様々な人達を眺めていると、千差万別ってこう言うことなんだなあ、と実感できる。
高級そうな洒落たコートを羽織って夜なのに颯爽と歩くビジネスマンや、そんな薄着で大丈夫なのか?というセクシーな格好のおねえさん、擦りきれた上着を着こんだ中年の人。
ある人は足早に、また他の人達はゆっくりと楽しそうに、道を通りすぎていく。
本当に色んな人がいて、自分が通っている学校でのことだって、
本当はちっぽけなことなのだろうなあ。と息を吐きながら店の外を眺めていると、向こうから真っ白なコートを着た女の人が歩いてくるのに目が留まった。
その人は、天使なんじゃないか?って位本当にふわふわした足取りで向こうからやって来て、
他の人達がいることも気に止めない様子で頬を伝う涙を拭うこともせずに凛と前を向いて進んでいく。
まるで映画のワンシーンみたいだ…と、目が離せなかった。
その人は、こぼれる涙なんて関係なく、真っ直ぐに前だけを見て綾一の前を通りすぎていった。
ただ、それだけのこと。
でも、それは綾一にとってはとても印象的で、その夜、自宅に帰った後も、彼女の様子が頭の中を何度もフラッシュバックして、布団を頭から被っても中々寝付けなかった。
今日のような寒い朝は尚更。
綾一は、喧しいアラームに少しイラつきながら、枕元にあるはずの携帯を探す。
いつもならあるはずの枕元に携帯はなく、そう言えば昨日は携帯を鞄に入れっぱなしにしていたなあ、と思い出しながら、仕方無く温かい布団から身体を起こしてベッドから抜け出る。
それにしても、昨日のあれは何だったのだろう。
鞄の中から携帯を取り出し、アラームを消しながら、綾一は昨日の夜のことを思い出す。
受験生の綾一は、毎晩予備校からの帰り道に近所のコンビニで飲み物を買って、一服してから家に帰ることを日課にしていた。
昨日も、お気に入りのミルクティーを飲みながらコンビニのイートインコーナーからぼんやりと外を眺めていた。
大通り沿いにあるそのコンビニの前は、夜10時を過ぎても結構人通りがあって、外を歩く様々な人達を眺めていると、千差万別ってこう言うことなんだなあ、と実感できる。
高級そうな洒落たコートを羽織って夜なのに颯爽と歩くビジネスマンや、そんな薄着で大丈夫なのか?というセクシーな格好のおねえさん、擦りきれた上着を着こんだ中年の人。
ある人は足早に、また他の人達はゆっくりと楽しそうに、道を通りすぎていく。
本当に色んな人がいて、自分が通っている学校でのことだって、
本当はちっぽけなことなのだろうなあ。と息を吐きながら店の外を眺めていると、向こうから真っ白なコートを着た女の人が歩いてくるのに目が留まった。
その人は、天使なんじゃないか?って位本当にふわふわした足取りで向こうからやって来て、
他の人達がいることも気に止めない様子で頬を伝う涙を拭うこともせずに凛と前を向いて進んでいく。
まるで映画のワンシーンみたいだ…と、目が離せなかった。
その人は、こぼれる涙なんて関係なく、真っ直ぐに前だけを見て綾一の前を通りすぎていった。
ただ、それだけのこと。
でも、それは綾一にとってはとても印象的で、その夜、自宅に帰った後も、彼女の様子が頭の中を何度もフラッシュバックして、布団を頭から被っても中々寝付けなかった。
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