不本意ですが、エリート官僚の許嫁になりました
「あなたとそういう関係になる気はありません。何度誘っていただいても無理です」
「一晩、一緒にいたら気持ちも変わるかもしれない。私、今夜は頑張るわ」
色仕掛け宣言にしか聞こえない。一刻も早くここを出なければ。ともかく翠に連絡だ。俺に対して怒って帰ってしまうならいい。心配して探し回っているとしたらどうだろう。俺は大丈夫だと伝えなければ。
こんな状況で翠の心配をしている自分に驚いた。翠に心配をかけているだろう状況が心苦しいなんて。
「風間さん、携帯あるんですよね。田城に連絡をしてください」
「携帯は持ってきてないのよ」
「では、非常ボタンを押すしかないですね」
「守衛が飛んできてくれるかもしれないけれど、ここを開けるには主計局か特務局の人間が必要でしょ?私とあなたがふたりっきりで一時間以上ここにいたってことは、噂になっちゃうわね」
クスクス笑う笑顔が悪辣に見えた。
ちょっとでも美人でイイ女だと思っていた自分が嫌になる。欲しい物のためには周りの迷惑や相手の気持ちなど二の次の人間なのだ。
こんな女、自分がフリーでも好きにもならないし、一晩だけだって御免被りたい。
「あら、予想外」
風間さんがぼそっと呟いた。次の瞬間、しなやかな猫のように彼女は俺の腕の中に飛び込んできた。俺が諸手を広げて迎え入れたわけじゃないので、性格には俺の両腕ごと封じ込めるように抱きついたのだが。
そしてそれとほぼ同時に開けたかったドアがピー、カチャと音をたてて開いた。
外側からの開錠だ。
「一晩、一緒にいたら気持ちも変わるかもしれない。私、今夜は頑張るわ」
色仕掛け宣言にしか聞こえない。一刻も早くここを出なければ。ともかく翠に連絡だ。俺に対して怒って帰ってしまうならいい。心配して探し回っているとしたらどうだろう。俺は大丈夫だと伝えなければ。
こんな状況で翠の心配をしている自分に驚いた。翠に心配をかけているだろう状況が心苦しいなんて。
「風間さん、携帯あるんですよね。田城に連絡をしてください」
「携帯は持ってきてないのよ」
「では、非常ボタンを押すしかないですね」
「守衛が飛んできてくれるかもしれないけれど、ここを開けるには主計局か特務局の人間が必要でしょ?私とあなたがふたりっきりで一時間以上ここにいたってことは、噂になっちゃうわね」
クスクス笑う笑顔が悪辣に見えた。
ちょっとでも美人でイイ女だと思っていた自分が嫌になる。欲しい物のためには周りの迷惑や相手の気持ちなど二の次の人間なのだ。
こんな女、自分がフリーでも好きにもならないし、一晩だけだって御免被りたい。
「あら、予想外」
風間さんがぼそっと呟いた。次の瞬間、しなやかな猫のように彼女は俺の腕の中に飛び込んできた。俺が諸手を広げて迎え入れたわけじゃないので、性格には俺の両腕ごと封じ込めるように抱きついたのだが。
そしてそれとほぼ同時に開けたかったドアがピー、カチャと音をたてて開いた。
外側からの開錠だ。