不本意ですが、エリート官僚の許嫁になりました
斎賀豪は弱冠13歳にしてすでにパーフェクトな男子だった。
勉強も運動も一番、音楽や美術もそこそこにこなし、一年生から生徒会の役員に抜擢されていた。斎賀は表向き省庁官僚を多く輩出するエリートなので、豪のことをお手並み拝見と意地悪な眼で見ていた者は多くいただろう。しかし、誰一人として豪に敵わなかった。同じ土俵にあがれる人間がいないのだ。豪ひとりだけが突出していた。

そして私はその事実がおおいに気に食わなかった。
あんな嫌な男がトップ?生徒会役員?信じられない。
やんちゃだった小学校時代だって、私の成績は常にトップだった。それをあっさり抜き去った豪には、言葉にしきれない感情があった。

豪は初対面の通り、同じクラスになっても私を無視した。興味の対象じゃないという冷たい態度を崩さなかった。それがまた私の怒りを煽った。
一族が勝手に決めたからって、曲がりなりにも将来結婚する相手に、その態度はないんじゃない?嫌われようとしてるの?それとももともとの性格が歪みまくってるの?
そんな嫌なヤツが私よりすべて上だなんて、プライド的に絶対許せない。

私は今までにない努力で勉強した。自ら希望して家庭教師をつけてもらい、予習復習余念なく励んだ。
一学年の終わり、学年末テストで私は豪に2点差まで詰め寄った。
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