不本意ですが、エリート官僚の許嫁になりました

潜入の概要はこうだ。
サパークラブ・Ｒの周囲には特務局の職員4名が張り込み、客の出入りを確認。近くの車で雁金さんが全体の統率役を担い、数名が指示と増員メンバーとして待機。

サパークラブの中には、なんと局長が細君の幸恵さんを連れて入店する。幸恵さんは接待でこういった場所に行ったことがあるそうで、「うまく振舞えるわ」とこの役を買ってでたらしい。

そこに俺と翠が入店する。接触しているところを数点写真に押さえて撤収の予定だ。

ホストとキャバ嬢のカップルという設定なので、俺たちの衣装は普段とだいぶ違う。翠はヒラヒラしたワンピースに髪をサイドアップにしている。化粧も普段より濃い。8センチはあるピンヒールで歩く彼女は威風堂々して見えた。
俺はというと、普段着ない型のスーツに派手な柄シャツ。夜だがサングラスも用意した。
髪の毛を撫でつけるとどう見ても堅気じゃない男の完成だ。我ながら似合ってしまい、なんとも言えない気分になる。