不本意ですが、エリート官僚の許嫁になりました
7.気にならないと言ったら嘘



「だからそれは普通のことでしょ」

私の前の座席で祭が言った。土曜の午前中、私は祭とコーヒーを飲んでいる。
久しぶりに会おうと提案したら、案外こいつは忙しいそうで、空いた時間を擦り合わせた結果が土曜の午前。

昼にはビジネスランチですってー。社長さんはすごいわ。
なんとなく偉そうに感じたから大きなサンドイッチとケーキをふたつ買ってシェアしている。お腹いっぱいでビジネスランチに行きやがれ、だわ。

「豪と翠は婚約してるんだから、食事くらい行くでしょ」

祭は私の最近に近況報告にあっさりとした態度。

「でも、大学時代とかふたりきりってのはなかったじゃない。だいたい三人一緒で」
「もう大人だよ。自覚しなさいな」

祭は私が手こずっているサンドイッチをすいすい片付け、チョコレートシブーストも平らげ、足りなさそうにショーウィンドウのシフォンケーキを眺めている。

「そんなことの相談で呼び出したの?豪と距離が詰まってきて不安〜って」
「そういうんじゃないわよ」

私はイライラと答える。たしかに祭を呼び出したのは豪との関係の変化について少し話を聞いてもらいたかった部分はある。
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