不本意ですが、エリート官僚の許嫁になりました
翌朝、早い時間にソファで目覚めた私たちはコーヒーとバースデーケーキで朝食にした。

「昨日渡しそびれた」

そういって豪が差し出してきたショッパーはスポーツブランドのロゴが印刷されてある。中にはスポーツクラブで使えそうなウェアのセットが入っていた。

「いつも行くジムで使ってくれ」

ニヤニヤと言われ、私は見透かされていることに気づく。
豪のヤツ、私がカッコつけて「ジム通いしてる」って言ったのをからかってるわね。

「ありがとう」

ドスの効いた声でお礼を言う私たちはいつもの私たちに戻っていた。

私と豪は結局こんな感じ。仲の悪い許嫁同士。
だけど、少しずつ歩み寄り始めてる。
豪がくれた『好き』という言葉が胸にずっとある。
実はそれが一番の誕生日プレゼントだなんて、私からは絶対に言わない。

午前中に帰宅すると、祭から花束のプレゼントが届いていた。Congratulation!のメッセージ。いったい、何に対してのおめでとうなのか意味深な花束だ。
今回の仕掛人には、あとでたっぷり事情聴取をしなければならないだろう。


< 151 / 180 >

この作品をシェア

pagetop