不本意ですが、エリート官僚の許嫁になりました
番外編・許嫁をホテルに連れ込んでみた結果
番外編【許嫁をホテルに連れ込んでみた結果】


「ちょ、待っ!き!きいてない!」

高層階から見る海原は反対側に沈む夕陽に照らされオレンジ色だ。進む船舶は小さく、遠くにレインボーブリッジも望める。大きな窓のついた綺麗な部屋を予約したのは私だ。

豪にプロポーズさせ、ホテルのレストランで遅めの昼食を取り、海辺を散歩し、首尾よくこの部屋までやってきた。私にとっては最高の夜の始まりの予定だった。
豪の気持ちを聞き、私も豪に気持ちを伝えた。私たちは形だけの婚約者じゃなくなったのだ。

やっと身も心も結ばれることができる。
この部屋に入るまでそう思ってきた。
シャンパンで乾杯して夜を待ち、それからゆっくり愛し合うのだと思っていた。
それなのに!

「そんなに暴れるな。ワンピースを破くわけにはいかない」

広々とした窓の大きな部屋に入るなり、豪は荷物を放り、私を抱きしめ服を脱がそうとするのだ。

「ムード!ムードがない!なんでいきなりしようとしてるのよ!まだ明るいじゃない!」
「いきなりじゃない。ここまで我慢したし、まずは一緒にシャワーを浴びようと思ってるだけだ」
「散歩しながらそんなこと考えてたの!?しかも一緒にシャワーなんて無理無理無理無理ーッ!」

叫ぶ私のワンピースの背中のファスナーはすでに降ろされている。私は服を前側で抱え込むようにして暴れているのだ。
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