不本意ですが、エリート官僚の許嫁になりました
名前を呼ぼうとしたら口づけられた。甘い舌が滑り込んでくる。そのままシャワーの中に引きずり込まれた。あたたかなお湯と豪のキスが降ってくる。
首筋から鎖骨へ移動する唇に思わず制止の声が漏れた。

「豪、だめ」
「駄目じゃない」

豪が私の唇に再びキスをして言った。

「もう待てない」

間近にある豪の瞳。ああ、だめ。恥ずかしいなんて言っていられない。私もこの人がほしい。
私は豪の首筋に顔を埋め、そっと頷いた。

「あんたには負けないんだった。逃げないから、好きにすればいい」
「さすが俺の惚れた女だ」

私たちはもう一度唇を重ね、それからお互いの身体に集中していく。

外は夕日の美しい時間帯で、私は豪と夕焼けに照らされた海や橋を眺めるつもりだった。今までのことやこれからのことを語り合いながら、幸せを噛みしめながら。

でも、そんなのもういい。何も考えられない。豪のことしか考えられない。
初めての夜はゆっくり始まっていった。



(おしまい)



ここまでお読みいただきありがとうございました。
次回作でお会いできますように。
2019.8.19
砂川雨路
< 180 / 180 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:637

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

元カレ救命医に娘ともども愛されています

総文字数/101,605

恋愛(純愛)158ページ

表紙を見る
かつて女の子だった人たちへ

総文字数/99,972

恋愛(その他)165ページ

表紙を見る
熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
  • 書籍化作品
[原題]じゃじゃ馬は馴らさずひたすら愛でるもの

総文字数/106,766

恋愛(純愛)207ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop