不本意ですが、エリート官僚の許嫁になりました
相手が誰だか確認できたらムカムカと怒りが湧いてきた。私は普通に廊下に出ただけで、急に飛び出してない!

「書類落ちてるぞ」

言いながら腰を降り、さっさと書類を拾い私の持つ束の上に載せた。

「あんたがぶつかってこなければ落ちなかった。だいたい図体がでっかいのよ。邪魔!」

文句を言って睨みつけると、馬鹿にしたようにため息をつかれた。

「相変わらず落ち着きがないな」

落ち着きがない?ぶつかっておいて、なにその態度は。

「いくつになったと思っている。中学生から精神年齢が変わっていないんじゃないか?」

豪は冷たく言い放ち、私の横を抜けオフィスに入っていった。
確かにあんたは私が中学生の頃から知ってるもんね。でも、私から言わせれば、あんただって中学時代からまったく変わってないわよ。冷たくて横暴で傲慢で。
私はガツガツ足音を響かせながらお隣の主計局に向かう。

「ああ、嫌になる!」

あんな男が私の許嫁だなんて。
あと五年以内に結婚しなければならないなんて!


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