不本意ですが、エリート官僚の許嫁になりました
友人の祭が言うには、翠は変わらずモテてはいるようだった。まあ、あの容姿だ。戦闘民族かってくらい気が強いのを抜きにしても、男は放っておかないだろう。
どちらにしろ、俺には関係のないことだ。
20歳になるのをきっかけに俺は彼女という存在を作るのをやめた。翠への当てつけみたいに興味のない女の子と付き合い続けるのは不誠実ではあるし、いよいよ斎賀本家の人間としての仕事が出てくる。名実ともに浮ついてはいられないのだ。
そして今日まで俺は女性関係はいたって淡白に過ごしてきた。遊びでもなんでも女性の誘いには乗らない。斎賀本家の跡取りとしての職責を負っているつもりだ。
翠については好きにすればいいと思っている。結婚までに身綺麗にしてくれればいい。
しかし、俺の心にはずっと引っかかる部分がある。
それは15歳の時に翠とのやりとりでついた傷だ。深く切れて傷の肉が反り返り、ふとしたことでそこに感情のきれっぱしが引っかかる。傷の存在を確認する度、痛いような苦しいような感覚を覚える。
俺は恋愛関係についてだけは、翠に裏切られたと思っているのかもしれない。
どちらにしろ、俺には関係のないことだ。
20歳になるのをきっかけに俺は彼女という存在を作るのをやめた。翠への当てつけみたいに興味のない女の子と付き合い続けるのは不誠実ではあるし、いよいよ斎賀本家の人間としての仕事が出てくる。名実ともに浮ついてはいられないのだ。
そして今日まで俺は女性関係はいたって淡白に過ごしてきた。遊びでもなんでも女性の誘いには乗らない。斎賀本家の跡取りとしての職責を負っているつもりだ。
翠については好きにすればいいと思っている。結婚までに身綺麗にしてくれればいい。
しかし、俺の心にはずっと引っかかる部分がある。
それは15歳の時に翠とのやりとりでついた傷だ。深く切れて傷の肉が反り返り、ふとしたことでそこに感情のきれっぱしが引っかかる。傷の存在を確認する度、痛いような苦しいような感覚を覚える。
俺は恋愛関係についてだけは、翠に裏切られたと思っているのかもしれない。