不本意ですが、エリート官僚の許嫁になりました
それは翠を誘っていけということだろうか。このチケットをきっかけにデートに誘えということか?

「翠だって、こういうの興味ないぞ」
「たぶんね。でも、翠見栄っ張りなところあるから行くんじゃない?人並にファッションに興味ある風に見せてるし、乗ってくるんじゃない?」

さすが祭だ。よくわかってる。
翠は俺や祭といる方が、女友達といるより多かった。同性の友人がいないわけじゃなく、女性同士の細やかな気遣いに疲れる様子だった。

だから俺と祭とばかりつるんでいた。しかし、自分がまるっきり女子の好むものに興味を持てないタイプとは見られたくないようで、ちょいちょい女性誌をチェックしては流行りのアイテムを手に入れているのだ。まあ、克己心が強くなる一時期だけなんだが。

「豪から誘われたら、翠だって邪険にはしないよ」
「お家のためだしな」
「それは半分の理由だって」

祭が肩をすくめ、それからハイボールのお替わりを頼んだ。

なんだか、わからずやだとさじを投げられた気分だ。
ショーイベントには、まったく興味がないが、そこまで言うなら翠を誘ってみるか。


< 70 / 180 >

この作品をシェア

pagetop