不本意ですが、エリート官僚の許嫁になりました
「豪がまた変なこと言った？」
否定しても仕方ないけれど、頷くのも……。困っていると局長は勝手に解釈して言ってくる。

「あいつ気遣いの点でかけてるよな。それって朝比奈に対する甘えだと思うんだけど」
「お互い様かもしれません。私も豪には言うこと成すこときついですから」

なぜか局長には素直な言葉が出てくる。うん、今はこのまま、本当の気持ちを聞いてもらいたい。

「本当は喧嘩したいわけじゃないんだと思います。そりゃ、仕事やその他のことで負けたくはないけど、ずっと険悪でいたいわけじゃなくて。……いずれ結婚する関係ですから」
「豪本人は朝比奈のこと嫌ってるんじゃないからね。ただ、あんまり子どもの頃から一緒で気の遣い方や大事にする方法がわかんなくなってるんだよ」

局長のフォローは豪のためでもあり、私のためでもある。
そして、接し方については、私も一緒だろう。豪にどんな態度を取っていいかわからないことは結構ある。

「朝比奈に大人になれって言ってるんじゃないよ。豪の素直じゃないところを一歩引いて見てあげてくれないかな。同じ土俵で闘うのも楽しいかもしれないけど、たまにどっちかが引いてカッカしてる方を包んであげる。夫婦ってバランスだと思うんだよね」

いつも豪と張り合ってばかりでそんなことを考えていなかった。
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