不本意ですが、エリート官僚の許嫁になりました
当時の当主だった豪の曾祖父は、豪の父親や伯父の猛さんが恋愛結婚で一族外の女性を入れたことが面白くなかったらしい。
さらに猛さんは当時からお子さんを作らないと公言していたそうだ。奧様とふたりでのんびり暮らしたい、と。
そこで曾おじいさまは考えた。
ひ孫にはなんとしても一族の嫁を貰わせ、子どもをばんばん産ませて本家を衰退させないようにしよう……。
そんな時代錯誤甚だしい考え方で、可愛い赤ちゃんの人生にレールを敷かないでほしかったけどね!
ともかく私は小さい頃から許嫁がいると聞かされ育ってきた。
少女漫画のような設定は、幼い私の心を掴んだ。無邪気に『いつか素敵な許嫁の男の子が迎えにきてくれる』と信じるようになっていった。
ご両親の仕事でアメリカにいるという許嫁とは赤ん坊の頃以来会ったことはなく、そのせいかどんどん夢が膨らみ、完全に許嫁イコール白馬の王子様という思考。
『豪くんと会えるのは、中学生になってからよ。あなたたちは同じ帝士大付属中学に行くんだから』
そう言われ、胸をときめかせた。男の子にまじって虫取りやサッカーにあけくれた小学生時代は封印、おしとやかで可愛い女の子にならなきゃ。
そして豪くんに好きになってもらわなきゃ。だって、一生添い遂げる人なんだもの。
12歳の翠はそう思いました。本当に健気だったわ、今にして思えば。
さらに猛さんは当時からお子さんを作らないと公言していたそうだ。奧様とふたりでのんびり暮らしたい、と。
そこで曾おじいさまは考えた。
ひ孫にはなんとしても一族の嫁を貰わせ、子どもをばんばん産ませて本家を衰退させないようにしよう……。
そんな時代錯誤甚だしい考え方で、可愛い赤ちゃんの人生にレールを敷かないでほしかったけどね!
ともかく私は小さい頃から許嫁がいると聞かされ育ってきた。
少女漫画のような設定は、幼い私の心を掴んだ。無邪気に『いつか素敵な許嫁の男の子が迎えにきてくれる』と信じるようになっていった。
ご両親の仕事でアメリカにいるという許嫁とは赤ん坊の頃以来会ったことはなく、そのせいかどんどん夢が膨らみ、完全に許嫁イコール白馬の王子様という思考。
『豪くんと会えるのは、中学生になってからよ。あなたたちは同じ帝士大付属中学に行くんだから』
そう言われ、胸をときめかせた。男の子にまじって虫取りやサッカーにあけくれた小学生時代は封印、おしとやかで可愛い女の子にならなきゃ。
そして豪くんに好きになってもらわなきゃ。だって、一生添い遂げる人なんだもの。
12歳の翠はそう思いました。本当に健気だったわ、今にして思えば。