うそつきペン
「そうだよ! 春子だって痴漢にあっても何も言えないじゃんね」


そうだよ。


春子だって完璧じゃないはずだ。


それなのにあたしは毎日毎日春子に注意されていた。


上履の並べ方が汚いとか、本当にどうでもいいようなことを注意されていたんだ。


思い出すと胸の奥からどす黒い感情が湧き上がって来る。


春子は親切で注意してたんじゃない。


あたしを見下して笑いものにしていたに違いない!


「この動画、もっと拡散しちゃえばいいのに」


自分の口からそんな言葉が出て来るなんて思ってもいなかった。
< 104 / 281 >

この作品をシェア

pagetop