うそつきペン
仲良くなんてなれるわけがなかったんだ。


あたしがどれだけ頑張っても、春子は褒めてくれることはなかった。


それよりも上手くできないことばかりを探して注意してきていた。


その半面、クラス内でしっかりと委員の役割をはたしてみんなの信頼を得ていた。


「ひどいよ! あたしのことを踏み台みたいにしてさ!」


もう1度ハサミを突き立てる。


写真の中の春子の顔が歪み、表情が見えなくなった。


「春子なんか……大嫌い!」


3度目で写真が音を立てて破れた。


春子の顔も、周囲にいたクラスメートの顔も判別ができなくなる。
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