うそつきペン
☆☆☆

教室へ入るとまた黒板の前に人だかりができていた。


誰かが落書きでもしたんだろう。


いつものことと思い、自分の席へ座る。


「アユリ!」


教科書やノートを引き出しへ入れている時、廊下からそう声をかけられて視線を向けた。


ツグミだ。


「ツグミ、どうしたの?」


すぐに席を立って廊下へと出る。


ツグミはどこか慌てた様子だ。


「このクラスに住野隆二って人いる?」


「いるけど、まだ来てないよ? なにか用事?」


そう聞くと、「校門のところに黒いスーツの人が何人も来てて、住野隆二って人を探してるって」と、ツグミは早口に言った。
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