うそつきペン
それを見た瞬間、春子が動きを止めた。


黒板の落書きを信じられないといった様子で見つめている。


「盗撮にあったのに、どうして捕まえなかったの?」


どこからかそんな声が聞こえて来た。


春子が唖然として周囲を見回し、力が抜けてしまったのか持っていた鞄を床に落としてしまった。


その様子にクラス内が笑いに包まれる。


あたしは春子の様子を少し離れた場所から見守っていた。


あたしを落とし入れて笑い物にしようしていた春子。


自分がこんな目にあって、初めてなにかを知る事もあるだろう。
< 137 / 281 >

この作品をシェア

pagetop