うそつきペン
呆然と立ち尽くしていた春子はふいに我に返ると、すぐに黒板消しを握りしめていた。


その慌て方にまたクラス中から笑いが漏れる。


「昨日は隆二と2人で居残りしたんだろ? パンツでも見せてやったのか?」


そのヤジを飛ばした生徒を春子は睨み付ける。


「いくら金出したらヤラせてくれんの? 春子のことだから500円くらい?」


1人がやりはじめれば全員がやりはじめる。


大勢でやれば罪悪感が少なくてすむからだ。


黒板を消して行く春子の背中には次々とヤジが飛ばされる。


「ネットに流されて恥ずかしくないのかよ」


「こっちの方が恥ずかしいから学校来ないで欲しいんだけど」
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