うそつきペン
容赦ない言葉に春子の肩が震えた。


うそつきペンがなければ、あたしが今の春子のようになっていたはずだ。


そう思うと少しだけ胸が痛んだ。


だけど、あたしが春子を助ける義理なんてない。


あたしは春子を怨んでもいいくらいなのだから。


黒板を消し終えた春子がゆっくりと振り向く。


クラスの全員が春子を見ている。


見下した目で。


あざ笑うような口もとで。


誰1人として春子に手を貸そうとはしない。
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