うそつきペン
完全に孤立した春子はその場に立ち尽くすばかり。


もうこのまま教室から逃げてしまえばいいのに。


そう思った時だった。


「おい! 隆二が絡まれてるぞ!」


という声が廊下から聞こえてきて時間が動き出した。


みんなの興味が一瞬にして春子からそちらへと集中する。


あたしはホッと息を吐きだして春子を見た。


春子はジッとねめつけるような視線をあたしへ向けていたのだった。
< 140 / 281 >

この作品をシェア

pagetop