うそつきペン
☆☆☆

「ねぇ、これ誰の教科書?」


それは2人へのイジリが始まった翌週のことだった。


夕子が床に落ちていた教科書を拾い上げてそう言った。


「さぁ? 知らない」


あたしと会話をしていた友里恵ちゃんが首を傾げて答えた。


あたしは自分の教科書がちゃんと机の中にあることを確認して「あたしのでもないよ」と、答えた。


「後ろに名前書いてあるじゃん」


夕子に近づいて行った朱里ちゃんが教科書を指さしてそう言った。


「あ、本当だ。ってこれ春子のじゃん!」
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