うそつきペン
そこには確かな敵意があった。


「なんだよその目。お前がゴミみたいに床に落としてたのが悪いんだろ」


「だからってゴミ箱に捨てるなんて、頭おかしいんじゃないの?」


春子の静かな声が聞こえて来た。


怒りを含んだ声。


しかし、真治はたじろいた様子を見せなかった。


春子の挑発するように、セリフを真似する。


クラス内に笑いが巻き起こった次の瞬間、肌を打つ音が聞こえていた。


真治が左ほおを抑えて唖然とした顔を浮かべて、春子が肩で呼吸を繰り返している。
< 148 / 281 >

この作品をシェア

pagetop