うそつきペン
あと1分もすれば授業が始まってしまうだろう。


「ごめんなさい……」


ふいに聞こえて来た声にあたしは春子を見た。


今の声はたしかに春子のものだった。


「ごめんなさい。もう、偉そうな顔はしません……」


震えた声でそう言う春子。


あれだけプライドが高い春子が、こんなにも簡単に謝るなんて。


あたしはそれに驚いてしまった。


「ほら、もう授業始まるしさ」


夕子にそう言われ、真治はようやく春子を解放したのだった。
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