うそつきペン
☆☆☆

あたしを見下していた奴は意外と弱い奴だった。


放課後になり、ツグミと2人で廊下を歩きながらぼんやりとそう思った。


弱かったからこそ、人を見下して叩いて満足していたのかもしれない。


「ボーっとしてどうしたの?」


ツグミにそう声をかけられて、あたしは「なんでもないよ」と、返事をした。


うそつきペンを使って過去を少しだけ変化させると、思わぬ相手の素顔が見えるものだ。


「そういえばさっき校門のところにスーツの男がいたんだよね」


ツグミはそう言って廊下の窓から下を見下ろした。


「また隆二目当ての男たち?」


「たぶんね。先生たちも出てきてなかったし、今はもう男たちはいなくなってるね」


「じゃあ帰ったんじゃない?」
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