うそつきペン
「どうしたの隆二?」


最初に声をかけたのは朱里ちゃんだった。


隆二はそれを無視して教科書に視線を落とす。


「ちょっと、返事くらいすれば?」


夕子が朱里ちゃんの隣に立ってそう言った。


「別に、関係ないし」


隆二は冷たくそう返事をする。


あたしたちの相手をする気は全くなさそうだ。


しかしその態度に朱里ちゃんは泣きそうな顔になってしまった。


「朱里ちゃん、大丈夫?」


あたしは後ろからそっと声をかけた。


朱里ちゃんは何度も頷き、そのまま自分の席へと行ってしまった。
< 158 / 281 >

この作品をシェア

pagetop