うそつきペン
☆☆☆

その後春子は学校を早退して授業には出ていなかった。


隆二はそれを気にしていた様子だけど、朱里ちゃんから「体調が悪くて早退したんだって」と説明され、鵜呑みにしてしまった。


隆二にとっても、春子の存在なんてその程度のものだったんだろう。


隆二の相手が春子じゃないなら、あたしにももうどうでも良かった。


春子が幸せになることが嫌みたいだ。


「アユリ帰ろ～」


放課後になって廊下からツグミがそう声をかけてきた。


「あの子アユリと仲良いよね」


教室を出ようとしたとき、夕子がそう声をかけて来た。


「うん。中学からの友達」


「また一緒にご飯食べようよ」


「もちろん！　みんなで食べた方が美味しいもんね」


夕子もツグミの事を気に入ってくれたようだ。


あたしは鼻歌気分で教室を出たのだった。
< 172 / 281 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop