うそつきペン
「アユリ、また怒られたの?」


横に立った黒牧ツグミにそう聞かれて、あたしは苦笑いを浮かべた。


ツグミとは小学校の頃からの仲良しで、高校に入学してからもなにかと一緒に行動している子だ。


「ちょっとだけね」


あたしはそう答え、雑巾を横へ置くと今度は自分の手を軽く洗った。


「春子ってばクラス委員だからって態度デカイんだよねぇ」


嫌味を言う声があまりに大きくて、あたしは慌てて周囲を見回した。


幸い、近くには生徒の姿は見えなかった。


ホッとすると同時にツグミを睨んだ。
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