うそつきペン
ツグミの歩調に合わせてゆっくりと歩いて行く。


「怪我、大丈夫?」


「そんなに大したことはないから、大丈夫だよ」


ツグミはそう返事をするけれど、声に元気はない。


「そっか……」


「アユリはどうして……」


そこまで言い、口を閉じてあたしを見つめるツグミ。


その目に見つめられてあたしは思わず立ち止まっていた。


ツグミもそれにつられて立ち止まる。


「昨日、なにも言ってくれなかったの?」
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