うそつきペン
その笑い声を聞いている内にメマイが起きそうだった。


壁に片手を付けて、どうにか立っていることができた。


「どうして春子を助けなかったの?」


「助けないに決まってんじゃん。相手の男からお金貰ったんだから」


夕子の言葉が頭の中でガンガンと響き渡る。


「あれは……最初から夕子が企んだ事だったの?」


相手にチカンされているとわかっても怖くてなにも言えなかった瞬間を思い出す。


逃げたくても逃げられない。


声をあげたくてもあげられない。


そんな恐怖が蘇って来て吐き気がした。
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