うそつきペン
あたしは茫然として2人を見つめる。


「どけてよ」


夕子はそう言い、あたしの体を簡単に押しのけて立ち上がった。


スカートの埃を払って2人に近づいていく。


「あはは。本当によく撮れたねぇ。ねぇ、これって立派なイジメの現場だよね? 先生に見せたらアユリってどうなっちゃうんだろうねぇ?」


夕子があたしにスマホを見せて、そう言った。


スマホの中ではつい先ほどの出来事が再生されている。


「なんで……?」


あたしの声は情けないほどに震えていた。


まさか撮影されていたなんて……!


「そんなの、面白いからに決まってんじゃん」


夕子はそう言って笑い声を上げたのだった。
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